行く原因となったのは、遊び目的ではないのだけれど、せっかくならばついでに遊んでやろうと計画を立てた。
その中で、ちょっと前から始めた御朱印集めもやろうと思い、対馬の神社を調べたところ、一の宮として海神(かいじん)神社、和多都美(わたづみ)神社、八幡宮(はちまんぐう)神社が有名で御朱印も貰えるとのことだった。ただし、海神神社は無人で、御朱印などの用があるときは社務所に貼ってある総代の電話番号に連絡する必要があること、油性ペンで書かれることもあることなどの情報があり、かなり不安になった。
対馬は上と下に島があり、八幡宮神社は下の島の栄えた場所である厳原(いづはら)にあり、あとの二つは上の島の栄えていない場所にある。
まずは、八幡宮神社。

対馬は日本人観光客よりも韓国人ツアー客が圧倒的に多く、ここでも韓国人ツアー客が階段をふさぐように座り「トクガワイエヤス・・・セヨ」みたいな説明をガイドがしていた。社務所に行くと明らかにひと気がない。ここにはまた戻ってくるし、数年後対馬に来るときにも簡単に寄ることができるのであっさりと諦める。
次はレンタカーで海神神社へ。厳原から1時間半ほど。
途中、2台前にパトカーがいて、脇の空き地に入ったと思ったら、この車の後ろに付けてきた。レンタカーのヨソモノなので掴まえてやろうと思ったのだろう。田舎の警察らしい嫌らしいやり方だ。制限速度40kmのところを43kmくらいでずっと走ってやったら、5分くらいでいなくなった。
さて、海神神社に到着したら1台レンタカーが停まっていて、40代後半の男女のカップルがいた。

社務所は無人で窓に『御朱印料500円頂きます』という張り紙があり、その横に情報通り電話番号が2つ貼ってあった。上の番号にかけると、「あー、今出たところだから・・・。もう一つの番号にかけて駄目だったらもう一度かけてください」と言われる。そこで下の番号にかけるとこちらも「あー、今ちょっと、えーっと、折り返し電話します」とのこと。そうだよねぇ、一般の人だものねぇ。申し訳ない。数分後、電話がかかってきて「20分くらいでそちらに着きます」とのこと。よかった。その間にお参りをする。
長い階段を上り、登り終わったと思ったらまた長い階段。

登りきったところになかなか立派な拝殿。お参りして下に降りてしばらく待っていると軽トラがやってきた。60代の人が運転し、80代の人を乗せている。この方たちが対応してくれる方たちだった。最近は御朱印ブームで毎日数回はこうして呼び出されるとの話を穏やかにしてくれた。ここの宮司さんは和多都美神社の宮司さんが兼任しているとのこと。和多都美神社は観光ルートに入っているけれど、こちらの海神神社は今のところルートに入っておらず、最近の御朱印ブーム前はほとんど人が来なかったようなので基本的に無人になっているようだけれど、対馬で一番由緒正しそうなこちらの海神神社をもう少し整備して多くの人にお参りに来てもらえるようになったらいいな。
お二人によくよくお礼を言って後にする。あ、そうそう、御朱印はちゃんと筆で丁寧に書いてもらえた。
和多都美神社へ向かう途中で、あなご亭へ。
店名通りあなご料理の店。最近は対馬の黄金あなごというのが高級鮨屋などでもてはやされている。このあなご亭、ナビではトンネル横の脇道を通ることになっているけれどその手前にあなご亭の看板がある。ナビ通りに行くと狭い舗装されていない山道の途中で『目的地周辺です』と言われ「キツネに騙された!」という感じに。元に戻って看板に従って進むも、木材を船に積み込んでいるおもいっきり『入ってはいけない場所』的なところに出てくる。不安になり看板に書いてあった番号にかけると、そのまま進んでくれと言われる。すると、木材の山の向こうに黄色い屋根のプレハブっぽい建物が。

着いたのが11時半くらい。中に入ると、きれいで新しい木材を使った作りの店で、テーブル席で30人ほどがゆっくり座れる広さ。先客が1組。天ぷら、煮あなご、白焼き、カツの定食が1600円程度。店員さんは素人っぽさが強い恐る恐るだけれど丁寧な接客で、田舎のガサツで無礼な感じがない。料理もとても美味しい。この質でデザートとコーヒーもついてこの値段は絶対行った方がいい。12時過ぎにはかなり待っているお客さんがいたので、早めに行くことをお勧めする。たしか、土日祝日は予約は受けないとのこと。
腹も満足したので和多都美神社へ。
海神神社からあなご亭までが40分程度、あなご亭から和多都美神社までが10分程度。山を登って行ったはずなのに着いてみたら目の前が海。海の中に鳥居が建ち海沿いから3連になっている。道を挟んで山側の拝殿手前に珍しい三柱鳥居。もうひとつ奥にも三柱鳥居。

この神社、調べてみるとかなり不思議で興味深いので各自で調べてみて。
で、お参りの後社務所を覗くと、こちらも全くひと気がない。張り紙等もない。休日だからいないのか。ここまで来て残念ではあるけれど、まぁ、しょうがない。
これらの神社に限らず、対馬自体は歴史的にとてもおもしろく、良くも悪くもあまり開発されずにこれまできているので、歴史好きな人が散策するのにはおもしろいと思う。ただ、その歴史的な史跡をただ放置しているだけなので、一般の人には『見た、終わり』となってしまう。食べ物も郷土料理として、石焼、ろくべえ、いりやきがあるものの、どれも味付け自体がそれぞれの家で適当なので、いまいち観光名物になりにくい。お菓子もかすまきという、あんこをどら焼きの皮で巻いたようなものがあるけれど、まぁ、形が棒状のどら焼きだし。
対馬に来た人がだいたい言う感想が「もうちょっと、どうにかしたら観光地になるのにねぇ」、である。今は韓国人ツアー客に頼った観光化が進んで、韓国語しか書いていない店もある。けれど、一方で、韓国人が騒ぐので韓国人の泊まらないホテルがいいという日本人観光客が離れている。この歴史的な価値のある史跡をちゃんと残し、なおかつ日本人観光客が楽しめるよう整備をし、郷土料理をベースに統一した名物料理を作って、いい島にしてもらいたい。